メモリアルコーナーに飾るために ご家族が持って来られたものはオルゴールでした。 故人様が70年くらい前、戦争に行かれるお兄様に差し上げたものだそうです。 お兄様は戦争で亡くなられたのですが、このオルゴールだけ数十年後に発見され、 故人様のもとへ帰ってきたのだそうです。 それ以来、お兄様の形見としてたまにネジを回しては音色を楽しみながら、 ずっと大切に持っておられたそうです。 このエピソードを書いたものと一緒に、 ロビーのメモリアルコーナーに展示しました。 ご葬儀の最後、お柩にお花を入れてお別れをする時、 バックミュージックが消えてオルゴールの音色が…。 故人様が最後に聴きたかった音色は、 きっとこのオルゴールの音色ではないだろうか、 そう考えたコーディネーターが故人様のお耳元で オルゴールの音色を聴かせてさしあげました。 オルゴールの音色はマイクを通して館内のスピーカーにも流れました。 それを聴いた故人のご長男が、マイクを使っておっしゃいました。 「これは母が兄の形見として大事に持っていたオルゴールです。 母は自分の部屋でいつもこの音色を聴いていました。 最後に聴けて、母もきっと喜んでいるだろうと思います。」 故人様はこのあたたかい音色の中、ご出棺していかれました。