葬儀後のグリーフケアとは?直葬・家族葬・一般葬ごとの心のケアのあり方
葬儀後のグリーフケアとは?直葬・家族葬・一般葬ごとの心のケアのあり方
ご家族を亡くされた直後というのは、心にぽっかりと穴があいたような感覚になることがあります。その悲しみや喪失感に向き合うための支えとして注目されているのが「グリーフケア」です。
葬儀の形式が多様化するなかで、グリーフケアのあり方にも変化が見られます。本記事では、直葬・家族葬・一般葬それぞれにおけるグリーフケアの特徴や、ケアが不足しやすいケースとその補い方について解説します。
グリーフケアとは
グリーフケアとは、大切な人を亡くしたあとに感じる深い悲しみ(グリーフ)に寄り添い、心の回復をサポートするための支援や行動のことをいいます。専門的なカウンセリングだけでなく、葬儀や日常の中で自然に行われる儀式や言葉も、立派なグリーフケアの一環です。
人は誰しも「喪失の悲しみ」と向き合う時間を必要とします。無理に気丈に振る舞ったり、感情を抑え込んでしまうと、心の整理ができないまま時間が経過してしまうこともあります。
グリーフケアはどのような時に大事?
「身近な人を亡くす」という経験は、人生において非常に大きな出来事です。その直後には、悲しみ・後悔・怒り・空虚感といったさまざまな感情が入り混じるものです。
特に以下のようなケースでは、意識的なグリーフケアが大切になります。
- 初めて身近な人を見送ったとき
- 看取りが突然で、心の準備ができていなかったとき
- 生前の関係性に複雑な想いが残っているとき
- 式があっという間に終わり、実感が持てないままの日々が続いているとき
気丈に見える人ほど、後になって心が崩れることもあります。「大丈夫だと思っていたけど、ふとした瞬間に涙が止まらなくなった」という声もよく耳にします。
グリーフ(悲嘆)の実際の例
グリーフ(悲嘆)の感じ方は人によって大きく異なりますが、以下のような状態として表れることがあります。
- 故人のことを思い出すたびに涙が出てくる
- 急に気力がなくなり、何も手につかなくなる
- 日常の中でふとした瞬間に「もういないんだ」と強い喪失感に襲われる
- 自分だけが取り残されたような孤独感を感じる
- 「あのときもっとできたはず」と後悔の気持ちにとらわれる
- 食欲がなくなったり、夜眠れなくなったりする
これらはごく自然な反応であり、「おかしいこと」でも「弱いから起こること」でもありません。ただ、こうした状態が長期間続く場合には、誰かに相談したり、心を整理する時間が必要です。
グリーフケア(悲嘆への対応やケア)の実際の例
グリーフケアは、特別な専門家だけが行うものではありません。実際には、葬儀の中のさまざまな場面や、小さな関わりの中でも自然に行われていることがあります。たとえば以下のようなことも、グリーフケアの一部です。
- 葬儀のなかで、故人との思い出を語る時間がある
- 納棺の際にご家族が故人の身支度に関わる
- 写真や愛用品を飾って、故人の人柄を思い出せる空間がある
- 弔電や参列者の言葉で、「故人が愛されていたこと」を実感できる
- 葬儀社のスタッフが、遺族の気持ちに配慮した声かけをしてくれる
何気ないやりとりや儀式が、遺族の気持ちを整理するための大きな支えとなるのです。
直葬の場合など、グリーフケアができない可能性も
近年増えている「直葬」は、通夜や告別式を行わず火葬のみを行う形式です。費用を抑えられる・シンプルで負担が少ないといった利点がある一方で、お別れの時間が非常に短く、心の整理が追いつかないまま火葬を迎えてしまうこともあります。
特に、納棺の時間が十分に取れなかったり、故人の顔を見る時間がほとんどない場合には、「ちゃんと見送れなかった」という後悔が残ってしまうこともあるのです。
直葬を選ぶ場合でも、納棺時の立ち会いや最後のひとときの演出を大切にするなど、できるだけ“お別れの実感”を得られる工夫が重要です。
一般葬では、周囲の人々がグリーフケアの役割を担ってくれる
一般葬では、親族以外にも多くの人が参列します。導師(僧侶)によるお話や焼香、弔電、参列者のあいさつなどを通して、自然にグリーフケアが行われている場面が多くあります。
故人の交友関係を目の当たりにすることで、「自分たちだけでなく、多くの人に愛されていた」という事実に気づき、気持ちが少し和らぐ方も少なくありません。
また、周囲の人が故人との思い出を語ってくれることが、残されたご家族にとって何よりの癒しになることもあります。
家族葬では、思いを形にする工夫が大切
家族葬は、ごく近しい親族だけで行われるため、周囲からの支援が得にくく、グリーフケアが不十分になってしまうケースもあります。だからこそ、家族葬では「故人への思いを形にして表す」ことがとても大切です。
- 納棺式に立ち会い、故人の身支度を手伝う
- 故人の好きだった音楽や写真を使ったメモリアル演出を取り入れる
- 少人数でも“お別れの言葉”を伝える時間を設ける
- お別れ式やメモリアルサービスのオプションを活用する
こうした工夫を取り入れることで、心が納得できる見送りとなり、その後の気持ちの整理にもつながります。
まとめ|形式にとらわれず、気持ちに寄り添う時間を
葬儀のスタイルは多様化していますが、どの形式であっても、「ありがとう」「ごめんね」「また会おうね」という想いを伝える時間は大切です。
グリーフケアに正解はありませんが、故人との時間を大切に過ごす工夫をすることが、残された人にとっての回復のきっかけになることもあります。
彩苑の事前相談では、家族葬・直葬・一般葬それぞれの形式に応じて、ご遺族の想いに寄り添ったご提案とサポートを行っています。
不安や迷いがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。